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膣内乳酸菌と月経周期の関係
膣内で重要な役割を果たしている乳酸菌は、常に同じ数を保っているわけではありません。女性の体はホルモンのリズムとともに変化しており、その影響を受けて乳酸菌の数も増えたり減ったりします。特に排卵期や月経中には一時的に乳酸菌が減少することがありますが、これは異常ではなく、自然な体のサイクルの一部です。
では、なぜ減ってしまうのに再び増えるのでしょうか? その秘密は膣の上皮細胞と女性ホルモンにあります。膣の上皮細胞はエストロゲンの働きによって「グリコーゲン」という栄養源を蓄えます。乳酸菌はこのグリコーゲンをエサにして増殖し、膣内環境を整えるのです。ホルモンバランスが変化してグリコーゲンが再び分泌されると、乳酸菌は自然と数を増やし、膣の防御力を取り戻します。
乳酸菌がしっかりと存在している膣内は弱酸性を保ち、雑菌が繁殖しにくい状態が維持されます。反対に、乳酸菌が減少してアルカリ性に傾くと、膣内の自浄作用が弱まり、膣炎やかゆみなどのトラブルが起こりやすくなります。このため、乳酸菌は“膣のガードマン”と呼ばれるのです。
更年期を迎える50代以降では、エストロゲンの分泌が低下し、乳酸菌が減りやすくなる傾向があります。その結果、膣内環境が不安定になりやすいのですが、適切なケアを行えば乳酸菌が働きやすい環境を整えることは可能です。膣の乾燥を防ぐ保湿ケアや、乳酸菌を意識した食生活、体を冷やさない生活習慣などがその助けになります。
乳酸菌の数が一時的に減っても、それは自然なリズムの中で起こる現象です。大切なのは、体の仕組みを理解し、その変化を受け入れながら上手に付き合うこと。乳酸菌という心強い“ガードマン”とともに、自分の体と前向きに向き合っていくことが、これからの健康を守る力になります。


