Journal

生理・妊娠・更年期で変わる膣内フローラ

生理・妊娠・更年期で変わる膣内フローラ
 私たち女性の体は、ホルモンの影響を大きく受けながら一生を過ごします。実は、このホルモンバランスの変化は「膣内フローラ」とも深く関わっています。生理、妊娠、更年期──それぞれの時期で菌の環境は変わり、それに合わせたケアの視点が必要です。

 

生理中の膣内フローラ
 生理のとき、膣内は経血の影響で一時的にアルカリ性に傾きます。通常は乳酸菌が膣内を酸性に保ち、雑菌の増殖を防いでいますが、このバランスが崩れると善玉菌が減少し、トラブルが起こりやすくなります。かゆみや不快なにおいが気になるのは、この変化によるものです。生理中は清潔を保ちながらも、過度に洗いすぎないことが大切です。
 膣内がアルカリ性に傾くのは、妊娠の準備のためでもあります。精子がアルカリ性であるため、それを受け入れる環境として膣内も一時的にアルカリ性に近づくのです。

 

妊娠中の膣内フローラ
 妊娠中は女性ホルモンが大幅に増加し、それに伴って膣内の乳酸菌も活発になる傾向があります。これは胎児を感染から守るための自然な仕組みと考えられています。しかし一方で、ホルモンの影響や体調の変化によって膣内環境が乱れると、カンジダなどの感染症を起こしやすくなることもあります。妊娠中は特に「安全でやさしいケア」を選ぶ視点が大切です。

 

更年期の膣内フローラ
 更年期を迎えると、女性ホルモンの分泌が大きく減少します。その結果、膣内の乳酸菌は減少し、膣内が乾燥しやすくなったり、外部からの菌に対して弱くなったりします。かゆみや炎症が繰り返されやすいのも、この環境変化が影響しています。ここでは「補うケア」が重要です。外側から乳酸菌を届ける、あるいは乳酸菌サプリを摂取して内側から整えるなど、両方を取り入れたケアが効果的でしょう。

 

変化を受け入れ、寄り添うケアを
 ライフステージによって菌の環境が変化するのは、自然なことです。大切なのは「変化を知り、その時期に合ったケアを選ぶ」こと。ホルモンの揺らぎと上手につき合いながら、常在菌と調和する視点を持つことで、不調を防ぎ、より健やかな日々を過ごせます。